No−139(もどき)その2 With 2SD217
(2001年6月完成)
(2001年6月記)



春の蜃気楼だろうか・・・・・・?

「一番古いTRが一番良い」の一番古いTR、2SD217→

2SD217は2SD218の一卵性双生児(耐圧が低いだけ)で同じもの・・・のはず(^^;
まるで出来立ての新品のようにも見えるが、そんなことはあろう筈もなく、となると果たして本物だろうか?

「大電流型MOS−FETを使ったアンプの音を聴くと、従来のオーディオ用パワーデバイスには戻れない」という今日になって“従来のオーディオ用パワーデバイス”の名器(の片割れ)がやって来た(^-^)

大電流型MOS−FETの存在は喜ばしいことだが、今や“従来のオーディオ用パワーデバイス”には戻りたくとも戻れなくなっているのが現実だから、とっくの昔に求めても得られなくなったいにしえの名器を前にしては大電流型MOS−FETもいささか霞んでしまう(^^;

何を置いてもこいつの音を早く聴いてみたい・・・アンプ製作のモチベーションが急激に高まってくる(^^)

が、よく考えると2SD217は、金田さんのMJレギュラー記事に使用されたこともなく、はっきりいってその定格も良く知らない(^^;
なにせ2SA649−2SD218なんてトランジスタは25年も前頃にはダイデン商事や若松の広告からも既に消えていた実にいにしえのトランジスタなのだ。

いにしえのトランジスターたちの定格については、MJ87年10月号のNo−99に今となっては貴重なデータがある。

項目 略号 2SA627 2SD188 2SB541 2SD388 2SA649 2SD218 MJ2955 2N3055
コレクター・ベース間電圧 Vcbo -100V 100V -110V 150V -150V 150V -100V 100V
コレクター・エミッタ間電圧 Vceo -80V 80V -100V 100V -100V 100V -60V 60V
コレクター電流(直流) Ic -7.0A 7.0A -8.0A 8.0A -7.0A 7.0A -15A 15A
全損失(Ta=25℃) Pt 60W 60W 80W 80W 80W 60W 115W 115W
ジャンクション温度 Tj 150℃ 150℃ 150℃ 150℃ 150℃ 150℃ 200℃ 200℃
直流電流増幅率 hFE 60
(Vce=-5V,Ic=-2A)
60
(2V,3A)
80
(-5V,-1A)
80
(5V,1A)
50
(-5V,-3A)
60 70
(-2V,-4A)
70
(2V,4A)
利得帯域幅積 fT 10MHz
(-10V,-0.2A)
10MHz
(10V,0.2A)
7MHz
(-10V,-0.2A)
9MHz
(10V,0.2A)
10MHz 6MHz
(-4V,-1A)
0.8MHz
(4V,1A)
コレクター容量 Cob 300pF
(Vcb=10V,Ie=0,f=1MHz
)
150pF
(10V,0,1MHz)
320pF
(-10V,0,1MHz)
190pF
(10V,0,1MHz)
200pF 60pF
(-10V,0,1MHz)
60pF
(10V,0,1MHz)


2SA649と2SD218のPtについては、78年5月発行の「改訂版最新オーディオDCアンプ」には2SA649のPcが60W、2SD218のPcが80Wとあるのだが、はたしてどちらが正しいのか?なんてどうでもいいのだが、肝心の2SA648−2SD217は載っていない・・・ので、教えて頂きました(^^)

1982年版のトランジスター規格表(CQ出版社)によると、2SD217はVcbo120V、Vebo7V、Ic7A、Pc60W(Tc=25℃)、Tj150℃、Icbo500μA、hFE60(5V、4A)、バイアス(10V、−200mA)、ft10MHz となっていて、Vcbo以外は2SD218と同じとのこと。

やはり2SD217は2SD218の低耐圧バージョンだ(^-^)




昔ならば2SD217の片方だけでコンプリが揃わなくては使いように困った訳だが、今は完全対称型がある。

かき集めた(^-^)

新品あり、中古あり。この日のための秘蔵品も放出だ!
貴重なコパルNX−13T200Ωもここで使わずしてどこで使うべきか(^^)。(fusaさん、心より御礼申し上げます。m(__)m)

コパルもV2Aもススムももう殆ど終わりだが、金田印の部品が完璧に揃った(^^)。が、オールold金田印はもうこれが最後だろう・・・

今となってはこだわってもしょうがないが、せっかくの「一番古いTR」だ。それに、なによりいにしえにはいにしえの部品こそ相応しい。

当然純粋TR型でいこう。となれば、No−139(もどき)しかない。電源はNo−144の電源部を共用すればよい・・・ので手間も少なくなって都合が良いし(^^;(だたし、そろそろ電源部の増設を考えなければなるまい)

よって、“No−139(もどき)No−2 With 2SD217”




回路はこう(^^;;




初段には最初ソリトロンのFD1840を起用してみた。ちょうどIdssが2.5mA程度のFD1840が2個あったので、カスコードアンプなしで使ってみようと思ったのだ。(だから上の写真にはFD1840が写っている)

が、結果的には2SK30をカスコードなしで使うという我ながら思いがけない結果となってしまった(^^;

大体、FD1840なら最大定格の50VをDS間にかけてもゲート漏れ電流は殆どないが、K30の方は同条件ではゲート漏れ電流の心配をしなければならないはずだ、と、はなから思い込んでいたし、FD1840ならドリフトもより少なくなるはず、と疑いなく思っていたのだ。

Vgs=0VでのVds−Id特性を測ってみたのが右で、一緒に測ったK30も同じだが、低電圧領域を除けば出力インピーダンスは非常に高くカスコードアンプなど付加しないで高圧をかけて使いたくなる特性だ。しかし、K30ではアラルダイトで接着してもデュアルFETのように緊密な熱結合は不可能だから消費電力が大きいと自己発熱によってドリフトが大きくなることも避けらない。だから、FD1840を起用してカスコードアンプを省略し、高圧をかけてのびのびとその能力を生かして使おう(^^)と考えたのだった。

が、間違いだった。

FD1840ではVds=45V、ゲート抵抗820KΩの今回の設定ではゲート漏れ電流が大きくて実用にならないのだ。ところが2SK30ATMなら選別の要もなく実用範囲に収まるのである・・・。え〜!?

詳細はこちらをご覧いただきたいが、結論として2SK30ATMはゲート漏れ電流の点でもすこぶる優秀なFETのひとつであることをようやく認識したのだった(^^;

MJ94年9月号で金田先生は「2SK30ATMは非常に生産年数の長い優秀なFETだが、特性の改善度も著しく、耐圧の50V付近の電圧をかけてもゲート電流はほとんど流れない」とおっしゃっておられるのに、自分で確かめもせず過去の経験だけで疑いをさしはさんだことに今赤面して深く反省している。m(__)m

また、これまでずっとゲート漏れ電流が多かろうとの濡れ衣を着せてしまった2SK30ATMにも謝らなければなるまい。m(__)m
2SK30ATMのゲート漏れ電流の少なさは最高レベルのものです。


それにしても、FD1840をどう考えたら良いのだろう?

昔からシリコニクス製などソリトロン社製以外の2N3954はゲート漏れ電流がケタ違いに大きいというのは有名な話しで、その見分け方としての黒地に白抜きのSと白地に黒のSのソリトロンマークも知っている。
だが、このFD1840に付いているのは紛れもなくそのソリトロンマークにしか見えないし、そもそもFDはソリトロン製以外にはありえないのでは・・・?

まじまじとそのFD1840を眺めてみたのだが、そういえば我が家に古くからある他のFD1840達のソリトロンマークの“S”はやや角張った字体なのにこいつの“S”は角張ったところがなくて丸い字体だ・・・。さては偽ブランド品か?

などと疑って、使わなくなった古いアンプからその角張った“S”マークのFD1840をひっぺがして移植してみたのだが、DCオフセットは小さくなったものの、入力のゲート抵抗を820KΩから220KΩに下げてもなお右チャンネルは300mV、左チャンネルは100mV程度のゲート漏れ電流によるオフセットが生じるのだった・・・

はたして・・・
2N3954シリーズはゲート漏れ電流が極めて少ない、というのは私の単なる思いこみだったのか?MJ2000年6月号のNo−159において「カスコードアンプ・・にはVdsが50Vの2SK117が使える。ただし、ゲート電圧は47Vとする。差動アンプに2N3954を使ったのでドレイン電圧Vdを高くできたからである」と金田先生のおっしゃる趣旨はこのゲート漏れ電流のことだと思うのだが・・・違うのだろうか?
そしてこれがFD1840の本来のゲート漏れ電流のレベルなのか?
はたまた全て偽ブランド品なのか?

いずれサンプル数が少ないので確かなことは言えないが、私の中の2N3954神話はもろくも崩れ去った・・・(これならDCマイクにも高価なFD1841なんか不要でK30を使えば良い・・・ということか・・・)もう高い舶来より安くて高性能な国産だ!(^^;;



気を取り直して・・・

初段の定電流回路には2SC1400だ。今は定電流回路用の名器は2SC1775Aとなっているが、いにしえには(定電流回路用に限らず)2SC1400だった。

「2SC1775Aはかなりおとなしい渋い音であり、演奏の表情の再現能力にかけては、2SC1400とだいぶ差がついた。やはり躍動感が失われる。2SC1400は柔らか味のあるニュアンスから激しいエネルギーまでリアルに再現できる名器である」といにしえの評価。ただし今どう評価されているかは知らない(^^;

hFEの大きいUランクだと最高だがあいにくEランクしかない。が十分。(hFE区分:F 225〜450、E 350〜700、 U 500〜1000)

定電流回路のツェナーダイオードとシリーズに1S1588を入れたのは勿論温度補償のためだが、94年9月号のNo−134のようにこれで終段のパワートランジスターを補償しようとするのではなく、定電流設定用のTR、すなわちC1400を補償するもの。

No−139(もどき)製作記で、「アイドリング電流の安定値が温度に比例的なのが気になる」と記したが、どうもその原因は「サーミスタの温度対抵抗特性」というより、初段の定電流設定用TRの温度特性の方が原因として大きいもののようなので、1S1588でこれを補償してみたもの。結果はお見込みのとおり(^^)となった。

初段の動作電流は1.3mA程度とした。あわせて初段のドレイン抵抗値を1.5KΩとし、サーミスタは330Ωでダンプして温度対抵抗特性を適切な数値に直線化する、など、この辺はNo−139(もどき)に勝る温度補償効果も勘案しての設定だ(^^)
2個の200D5は勿論1個を2SC960に1個を2SD217にアラルダイトで熱結合する。この写真では見えないが、実は右下のC960の下に200D5が貼り付けられている。



2段目は勿論2SA606でカスコードアンプを付加した。

終段を電流ドライブするという観点からは2SA606の裸の出力インピーダンスで可なのかもしれないが、出力段上側の入力インピーダンスは概略、負荷×出力段のhFEだからそれなりの高さになると考えると、やはり今回もNo−139(もどき)と同様にカスコードアンプを付加して完璧を期すこととしたもの。なお、これでも2段目差動アンプの2SA606には6〜7V程度の電圧がかかるはず。AC電源だしなるべく高い電圧がかかるようにしたいところではある。

2段目差動アンプの共通エミッタ抵抗は固定抵抗とシリーズに組み合わせてトリマーの抵抗値を下げ、調整の分解能を上げるべきなのだが、コパルN−13Tの手持ちが500Ωしかないのでこれ1個で間に合わせることにした。250Ω付近が所要の抵抗値となるように設定してあるのでこれでも良いだろう。

2段目差動アンプの負荷を330ΩとしNFB設定抵抗を220ΩとしたのはNFB量を増やすとともに仕上がりゲインを下げることにしたもの。

No−139(もどき)に使用したメキシコ産2N3055はhFEが200程度に大きいものだったが、2SD217は実測70程度であることもありこうした。ただしこうするとMFBは4Ωスピーカー用のセッティングとなるのだが、これで8Ω用として使う。そうするとVNFmax時とCNFmax時の仕上がりゲインにやや乖離を生じることになるわけだが、まあ許容範囲だ、と思う。

終段のアイドリング電流は139(もどき)と同じ200mAとし、2SD217のエミッタ抵抗は省略した。アイドリング電流が安定でない場合にはその時に対策を考えよう、と思ったが、結果的には温度補償が上手くいったが故かアイドリング電流は非常に安定なものとなった。

が、エミッタ抵抗がないとオリジナル式の過電流保護の保護回路が付けられないので、これもNo−139(もどき)と同じ“危険なアンプ”になる。No−139(もどき)もエミッタ抵抗なしで実用になっているし、今回はさらに温度補償に留意したので、注意して使う分には問題はないと思うが、勿論出力ショートや4Ω以下の負荷で大出力を出すなどの無謀なことをすればアウトだ。

ところで、今回、出力DC漏れに対する保護回路を付加してみた。

いにしえの第一世代以来途絶えて久しい保護回路だが、安定化電源を使用していないので一瞬にして電源を落としてしまう第一世代と同様の保護回路にはできない。が、アンプの出力DC分を検出し、それが0.6Vを超えたらアンプの動作を停止させてスピーカーを保護するものとした。

分かっている人が留意して使う限りはアンプ出力にDCを出してスピーカーを壊すという事故はそう起こらないと思うが、高価なホーンドライバーをつなぐ時はやはり多少の緊張はある。今後ボケる(^^;ことも考えて出力DCに対する保護回路を付加してみることにした。


回路は自作オーディオのページから拝借して必要最小限に簡素化したもので、動作については説明の用はないだろう。金田さんの第一世代の保護回路と実質同じだがフォトカプラを使用したのが上手いところ。

自作オーディオのページに紹介されているように終段のバイアス部分に制御信号を伝達してこれをカットするようにすれば、終段に真空管やV−FETを使用した以外の完全対称型アンプにも使用できる保護回路となるが、今回は初段の定電流回路に伝達してその動作を停止させることによりアンプの動作を停止させるものとした。このため初段定電流回路にTRを使用しているもの以外では使えないが、TRによる初段定電流回路を使用しているものにはフォトカプラが半分で済むしこの方がスマートだろう。

また、電源ラインに電流検出部を挿入して一定以上の電流で2SA1015をトリガーする回路を追加すれば、過電流保護も可能な保護回路にできる。が、今回は出力DC保護だけにした。

リセットスイッチは敢えて省略。保護回路が作動したときはその原因を確認し取り除くことが先決だが、リセットスイッチがあるとついつい確認を怠ったままこれを押してしまってかえって致命傷に至ってしまうことがある。いにしえのトラウマ(^^;;



今回ケースはタカチのOS115−26−33BXを、放熱器はフレックスのTF−1310A2を使用した。この点はNo−139オリジナルと同じになった。シャシ加工・組み立て自体は特に変わったこともなく淡々と忍耐強くやるしかない。


No−139オリジナルと違って電源部が別なので、ケース内は余裕と言えば余裕だ。終段の電源電圧も±34Vとオリジナルの7割弱なのに放熱板は同じTF−1310A2だからこちらも余裕の放熱条件の筈。

ただし、放熱板をサイドパネルに取り付けることもしていないし、基盤類もただ底板に取り付けただけなので(こういうのが一番楽です(^^;)案外ケース内は一杯となった。(ように見える)


さて調整だが、先に記したFD1840の問題の他は一点を除いて大変上手くいった(^^)。

2SD217はエミッタ抵抗レスで果たして安定なアイドリング状態を得られるかやや心配だったが杞憂に終わった。200D5を使った今回の温度補償も計算どおりでNo−139(もどき)以上にアイドリング電流は安定している。

また、仕上がりゲインを6db下げたこともあるが、出力DCオフセットも極めて小さく、かつての電池式GOAパワーアンプと同レベルに収まる。

今回導入してみた保護回路も上手く動作してくれた(^^)
わざとオフセット電圧をあげてやると出力DCレベルが±0.5V強で保護回路が動作し、終段の動作電流及び出力DCがともに0になるとともにインジケータLEDが赤く輝く。なかなかの安心感(^^)

これでホーンドライバーやツイーターを鳴らしていても何の不安もない。家人がアンプを使うことにも寛大になれる、というもの(^-~)



さて問題の1点だが・・・、

例のごとくアイドリング電流を調整すべく2段目のN−13Tを右に回しはじめたら、アイドリング電流が増加してきたのでヨシヨシと思いつつさらに右に回したところ、何故か逆にアイドリング電流が流れなくなってしまった?なんでだ?と思いつつもさらに右に回したら、突然テスターの針が急に振れて、アーッ!と思った瞬間には安全のため電源との間に入れておいた1Aのヒューズが音をたてて黒こげに溶融してしまっていたのだった・・・凄まじい・・・(ヒューズ入れといてよかった〜)

すわ発振か?と、こういう現象は普通に考えるとまずアンプが発振しているものと考えなければならないものだ。う〜ん、途方に暮れてしまった。参ったな〜・・・

途方に暮れつつもあちこち動作を確認しながら基盤各部に当たっているうちに、もしやと思いつつ基盤に付いている中古N−13Tの抵抗値を測ってみたら、接点の接触がおかしくなっていて回転の半ばで接点が浮いてしまっていることが分かったのだった。

あ〜あ、これじゃ当たり前だ!と、早速N−13Tを最後の中古手持ちと交換して事なきを得て、よかった〜発振じゃなくて(^^)と安堵したのだが、要するに動作確認もしないで中古部品を不用意に使ったしまったミスで余計な時間を食い、安全のためのヒューズを入れていなければ確実に貴重な名器をあの世行きにさせるところだったと冷や汗をかいた顛末だったのだ。お粗末・・・(^^;;



さて、いにしえのオールスター勢揃いの豪勢?(^^;な“No−139(もどき)No−2 With 2SD217”は上手く完成した。

肝心の音はどうか?

・・・・・・
そりゃそんなに変わる訳はありません。いつものとおりの音とでも言いましょうか(^^;


まあ印象を端的に言えば、・・・実は“画竜点睛”とでも言うべきもので・・・
音の表情、雰囲気、訴求力、躍動感、艶めかしく力強く・・・さすがに名器(^-^)

(2001年6月9日記)

桜の季節にやってきた夢のような2SD217。その奏でる音楽のすばらしい雰囲気にいっ時包まれるが、・・・すでに季節は梅雨の長雨模様・・・

(その後)

ちょっとした経緯で現在こうなっている。詳細は・・・述べるほどの内容はない。のだが、初段定電流回路の1S1588については運用実績から効果が期待したほどではないようなので取り止めたもの(^^;





(2001年11月17日)

(その後の続き)


スピーカーユニットを入手した。
口径20cmのウーハー

ユニット裏側を見ると分かるように今時珍しいアルニコマグネットの内磁型(^^)
ダンパーも写真には写っていないけれどベークライト製の蝶ダンパーなのだ(^^)

へ〜凝ってるねぇ。なんて感じでコロッと傾いてしまった訳だが、これで1万1千円なら文句はないんじゃないの(^^;

フレームはまあ価格なりでダンプ材が貼ってあるところなどはご愛嬌だが、逆に言えばそれもコストの制約のなかで頑張った真面目さが現れたところとも思える。


と、なんでここにスピーカーユニットが出てくるのか・・・はご察しのとおりで、早速ユニットは交換され目出度し目出度しとなったのでした。

ハハ・・・(^^;

上で「述べるほどの内容はない」と言ってしまった事の次第は即ち、ちょっと気温が下がって来て電源投入時のアイドリング電流が過渡的に過大になりすぎるという温度補償の不具合が顕在化したので、この対策をあれこれ検討している過程で定数までいじって熱暴走事故を起こしスピーカーまで道連れにしてしまったというもので、過信による油断が招いた結果(^^;;

139(もどき)その2の回路はこの前後で初段にカスコードが加わってしまったが、これは温度補償とはなんら関係はなく、なくて問題はない。

で、温度補償の不具合はC960を補償しているサーミスタにパラの抵抗を330Ωから220Ωに変更することによってあっけなく解決したのだが、初段サーミスタによる温度補償方式は、初段・2段の動作電流値や負荷抵抗値などが補償計数のパラメータになるので、実際はなかなかに微妙なものであるのですよね。(^^;


さて、このユニット、何のユニットかバレバレですが、これのおさまったスピーカー、良くできたスピーカーですね。勿論国産です。スピーカーも最近はすっかり海外製品に押されていますが、日本のメーカーにも何とかもっと頑張ってもらいたいものです。

(2001年12月29日)

(年末の風景)


今年ももう終わりね。

そうだなぁ。また1年が過ぎたかと思うとだんだん尽きていくって思いもあるけれど、また忘れられるってありがたくも思うよ。

そうねぇ。嬉しかったことも嫌なことも、みんな胸の奥にしまってまた新しく始めればいいのよね。

まあ、そんな気分でいられるんだから、まぁまぁの年だったということかな。

そうでしょうねぇ、年忘れだというのにまだアンプなんかガチャガチャいじってるんですもの・・・

まぁまぁ、こんな休みじゃなくちゃゆっくりアンプいじりもできないんだから。

そ〜お。それにしては今年もまたアンプが随分増えちゃって。置き場所もなくなっちゃったんじゃないかしら。

そんなに作ったか・・・1台ぐらいじゃないか。

私だってあなたの変なHPがあることぐらい知ってるのよ。あれ見たら一目瞭然でしょ。

ありゃ、誰にも言ってないのにばれていたのか。こりゃスマンだ。

とっくに諦めてますけど。で、今日は何。まだ終わらないの。

ま、古〜いトランジスタを使ったパワーアンプなんだけどね。どうもスピーカーケーブルが長くなると発振するらしいことが分かったんでちょっと位相補正をいじって直してみようかと思ってね。ヒューズ入れてたから助かったんだけれど、このままだとその貴重なトランジスタを壊しかねないんだよ。

面倒なの。

いやいや、ちょっと箱を開けて基盤のコンデンサーを一個交換するだけだからすぐ済むよ。

そう。そう言えば今年もまたなんかトランジスタ使ったパワーアンプ作ったんじゃなかったんでしたっけ。

ああ、まあね。つくったかな。

電流正帰還とかなんとかって。HPで見たわよ。そんなにトランジスタを使うといいものなの。

いや〜、それがねぇ、トランジスターを使ったものはMOSとかを使ったものに比較して高域特性とかは見劣りするものにしかならない・・・らしいんだけどね。

あら、それならそんなに作たってしょうがないでしょうに。

まぁまぁ。売り物作ってる訳じゃないんだから。趣味だよ、趣味。それにこれはこれで十分以上の性能だしね。

でも、また何とかしようなんて考えてるんじゃないの。

ん、良く分かるな。まぁそうではあるんだけれども頭が付いていかなくてね。今んとこC1161でも使ってエミッタフォロアで電流流して使うぐらいしか考えてないよ。

何のことなのか私にはさっぱりだけど、上手くいきそう?

いや分からない。し、今日はそれやってないよ。そっちはまあやってみるにしても来年以降さ。別にそうしないといけないという類のものじゃないしね。今日はコンデンサー交換して終わり。もう済んだよ。

そう。じゃぁ今日の方は上手くいったの。

今動かしてみれば分かるんだけれども・・・

ほら上手く行った。今度は全く安定だよ。結局これでもこいつの第一ポールがここだってことが分かるわけさ。

そうなの。でもおかしくない。前は別に発振なんかしてなかったじゃないの。

う〜ん、まあね。どうも夏にアイドリング電流を100mAに減らしたんだけれど、どうもそれが関係しているらしいね。

微妙なのね。


金田式だからってこともないんだけれど、NFBアンプだからこんなものさ。それにこれは終段が電圧ゲインを持っているっていうなかなか珍しいアンプだってこともあるかな。で、どうだい音は。

いいわね、って言って欲しいんでしょ。でもそんなに音を大きくしたらご近所に迷惑よ。

まあこの音だし全くオッケーだ。かえって艶っぽく伸びやかになったように思わないか。

はいはい。そうね。でも、もう終わったんでしょ。まだ買い物が残っているし、お餅も早く切らないと固くなっちゃうわ・・・

わかった、わかった。





(2002年12月31日)


(と思ったが・・・)


どうも失敗だった・・・(^^;

年末あわただしく位相補正コンデンサーを5pFから10pFに交換して安定度は当然良くなり、併せて音まで良くなったような気がしていたのだが、良く聴くとどうも大切なものがなくなってしまっている。

端的に言うと音がつまらなくなっているのだ。

もともとのソースがどうなのかということもあるのだが、再生装置自体の問題としては、例えばジワーッと来る音の密度感、奥行き感、立体感、色彩感、躍動感、そんな感じのものが深いほどに演奏に心が揺さぶられ音楽を聴く楽しみも深い。ものなのだが、ちょっとこの方向とは逆の方向になってしまったようで、イマイチ聴いていて充実感が足りない。

駄耳のせいかこの辺すぐに気づかないのだ(^^;

気づいてしまえばこうなった原因は勿論位相補正コンデンサーを5pFから10pFに交換したことにある訳なので、早速元に戻さなければならない。のだが、そうすると出力に長いスピーカーケーブルを繋いだ場合にアンプが発振する場合がある、という問題も元に戻ってしまう。

ならば・・・・・・、NFBを減らして安定度を確保しよう。


もともとこのNo−139(もどき)その2はクローズドゲインを26dbとNo−139オリジナルや我が139(もどき)その1の32dbの半分に設定してあるので、その分NFBも多いはずで、結果位相補正もその分多くなければならないはずなのだが、たまたま5pFでぎりぎりボーダーラインにあったのだろう。

位相補正を増やせば電気的には安定するが音的にはつまらなくなる場合がある。
ということであれば、NFB量を減らして音と電気的安定性を両立させよう、というのもK式だろう(^^;

と言う訳で、このNo−139(もどき)その2のクローズドゲイン設定は32dbに変更された。勿論位相補正コンデンサーは5pFに戻した。
結果、その2も当初から32db設定にしておけば良かった・・・と思えるくらい音の充実感が回復した。
めでたし、めでたし(^^)


(おまけ)

と、こんなこともあったので、No−139(もどき)その2のシミュレーションもしてみたのだった。

シミュレーションはあくまでシミュレーションなのであるが、いろいろと考えさせられる結果である。
どこまでまともなシミュレーションになっているものか不明だが、興味のある方はどうぞこちらへ。

果たして・・・、オリジナルNo−139の32dbという比較的高いクローズドゲイン設定にはそれなりの理由や意味が込められていたものや否や?(^^;




(2003年1月14日)



(その後の2)



久しぶりにNo−139(もどき)とNo−139(もどき)その2を持ってきて尚子を聴いていたらふと思い出した。
ので書いておこう。

書き忘れていたのだが、我が“No−139(もどき)その2 with 2SD217”は僅かに回路に変更が加えられて今現在このようになっている。

大した変更ではない。終段ダーリントン入り口のベース抵抗を330Ωから220Ωに変えただけだ。

何故そうしたのか? と言えば例のシミュレーションの結果である。まぁ、さしたる違いではない。とは思ったのだがやはり気になって改造してしまったのだ。

ところで、我がTR式CDラインアンプ+我がNo−139(もどき)属で聴く尚子のヴァイオリン。楽しくかつ情熱的でなかなかに良さ気。

やはりバイポーラTRの高分解能。弦の表現力は格別かな(^^)

ので、ヒラリー・ハーンでショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲なども聴いてみる。

う〜ん、遥かに見通せるスリリングな音響空間(^^)


女性ばかりなのね。
え? いや、・・・川畠成道だって聴くでしょ(^^;;








(2004年4月4日)



続きはこちらへ